世界初?! アコヤ貝でビールを作ろうと思った理由。
3年目の仕込みとなった『PEARL STOUT』。
毎年、出汁のとり方や配合する量を変えながらブラッシュアップしています。
今年もいい感じに出汁の旨味を感じることのできるビールに仕上がりました。
ここで改めて、PEARL STOUTの誕生秘話をご紹介します。
前職での海外出張の時にサンフランシスコで出会った「OYSTER STOUT(オイスタースタウト)」。
「え?牡蠣をビールの原料として使うの??」と衝撃を覚えました。
いざ自分がビールをつくる立場になった時に、「壱岐は牡蠣も採れるし、あのOYSTER STOUTがつくれるのでは!」と、早速リサーチしてみたら、なんと日本でもつくっているブルワリーを数社発見。
「う〜ん、面白くない。。。」
「あっ!でも、同じ貝の身で、真珠の母貝になっている”アコヤ貝”でつくれないのかな?」
「アコヤ貝の貝柱は、牡蠣に負けず劣らず美味しいぞ!」
「アコヤ貝を使ったビール。その名も、『PEARL STOUT』、、、めっちゃかっこいい!」
(すべて心の声)
ということで早速、壱岐で真珠の養殖をしている山本真珠さんへ足を運び、アコヤ貝の身(貝柱以外の部分)のことを聞いてみると「昔は炒めたり佃煮にしたりして食べていて美味しかった。」とのこと。
「これはいける!」と思い、山本さんに交渉し、真珠の球出しの後は廃棄されていたアコヤ貝の身をもらうことに。
しかし、、、
受け取ったアコヤ貝の身は、ビックリするくらいヌメヌメしていて「これは使えるのか?」と愕然としました。
そんなアコヤ貝の身を海水でしっかり洗い、ヌメヌメを落として、大鍋に入れて出汁を取る作業。
煮立ってくると灰汁が出てくるので丁寧にアクを取り。
まるで、ラーメン屋にでもなったかのような作業でした。
また、アコヤ貝の殻を麦汁のろ過の際に使おうと思ったのですが、それもまた一苦労。
予想以上に貝殻に海藻やフジツボが付着していて落とすのが大変でした。
「果たして美味しいビールが出来上がるのか?」
「思った以上に磯の香りが強くないか?」
と不安でいっぱいの中での仕込み作業だったのですが、発酵が進むにつれ、ほのかな磯の香りへと落ち着き、出汁由来の甘みと旨味が出て面白いビールに仕上がりました。
壱岐島で生まれた唯一無二のビール「PEARL STOUT」。
それは、廃棄されていた資源を利用し、新しい価値を生み出す=アップサイクルによって出来上がりました。
しかし、出汁をとった後の身を生ごみとして捨ててしまえば同じこと。
それらは、島で廃棄されるあらゆる有機物で堆肥を作ってオーガニック野菜を育てている「未来派カゾク農園」さんが、野菜の栄養に変わるよう有効活用してくださっています。